明治安田J1リーグに所属する東京ヴェルディ。

2024シーズンJ1に16年ぶりに復帰し、現在8位(2024年10月11日時点)と健闘を見せています。

この躍進の背景には、2019年に行われた大規模なリブランディングがあります。

今回は、東京ヴェルディのリブランディングが日本サッカー界に与えたカルチャー的影響と、その成果についてまとめます。

リブランディングの背景と目的

東京ヴェルディは、クラブ創立50周年を迎えた2019年、次の50年に向けた新たな挑戦としてリブランディングを実施しました。

【参照】https://www.brand.verdy.co.jp/brand

その目的は以下の2点でした:

  1. ブランドビジネス化
  2. 総合クラブ化

世界的デザイナー、ネヴィル・ブロディの起用

リブランディングにあたり、東京ヴェルディは世界的に有名なデザイナー、ネヴィル・ブロディを起用しました。

ブロディ氏は、1957年4月23日生まれのイギリス出身のグラフィックデザイナー、タイポグラファー、アートディレクターです。

ブロディ氏の主な経歴:

  • 1980年代に「The Face」誌のアートディレクターとして頭角を現す
  • LVMHルイ・ヴィトン モエ・ヘネシー、ナイキ、サムソン、タイムズ紙のロゴやフォントをデザイン
  • BBCウェブサイトのリデザインを手掛ける

【参照】

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3

新しいブランドアイデンティティ

東京ヴェルディの新しいブランドアイデンティティは、以下の要素で構成されています4

  1. エンブレム: クラブサッカーの始まりを表す「始祖鳥」をモチーフにしたデザイン
  2. カラー: ヴェルディグリーン、ゴールド、ホワイト、ブラックの4色展開
  3. タイポグラフィ: 独自のフォントを開発し、一貫性のあるブランド表現を実現

リブランディングの成果:観客動員数の急増

2024シーズン、東京ヴェルディはJ1復帰と共に観客動員数の大幅な増加を達成しています

  • 2024シーズン前半戦で、1試合平均2万976人の観客を集めています。
  • これは2023シーズンの平均7982人から約2.6倍の増加です。
  • J1復帰後の開幕戦(国立競技場で横浜F・マリノスと対戦)には5万3026人の観客が集まりました。
  • 本拠地の味の素スタジアムでも、FC東京戦で3万1746人、名古屋グランパス戦で2万105人を記録しています。
  • 最も観客が少なかった試合でも1万60人を集めており、昨シーズンと比べて大きな改善が見られます。

この観客動員数の急増は、J1復帰という要因に加えて、リブランディングによるクラブの魅力向上や認知度の拡大が大きく影響していると考えられます。

グッズ販売の多様化

リブランディングの効果は、グッズ販売にも表れています

【参照】https://store.jleague.jp/club/tokyov

  • 新マスコット「リヴェルン」の導入: 2020年5月4日に誕生した新マスコット「リヴェルン」は、東京ヴェルディのグッズラインナップに新たな魅力を加えました。始祖鳥をモチーフにしたこのキャラクターは、ファンの間で人気を集め、グッズ販売の重要な要素となっています

【参照】https://www.jleague.jp/mascot/2023/profile/tokyov.html

  • リヴェルングッズの展開: リヴェルンのキーホルダーやステッカーなど、新マスコットを活用した商品が登場し、ファンの購買意欲を刺激しています。

【参照】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000036902.html

  • ターゲット層の拡大: 2024シーズンには、従来のサッカーファン向けのグッズだけでなく、より幅広い層をターゲットにした商品展開が行われるようになりました。

【参照】https://www.verdy.co.jp/news/12898

  • キッズユニフォームやスカート付きキッズユニフォームの導入
  • 犬用ユニフォームの販売
  • タオルユニフォームベアやユニフォーム型クッションなど、日常生活で使用できるアイテムの拡充
  • デザインの多様化: 新しいブランドアイデンティティを基に、より洗練されたデザインのグッズが登場しました。例えば、タオルマフラーではフルカラー転写技術を用いて鮮やかなデザインを実現しています。
  • カスタマイズオプションの拡充: オリジナルネームでの作成が可能なアイテムが増え、ファンの個性を反映したグッズ作りが可能になりました。
  • デジタル領域での展開: リヴェルンの公式TwitterやInstagramアカウントが開設され、SNSやデジタルプラットフォームでの使用を意識したグッズデザインや、オンラインストアでの販売強化が図られています。

これらの変化により、東京ヴェルディのグッズ販売は単なるチームサポートグッズから、ライフスタイルブランドとしての要素を強く打ち出すものへと進化しています。リブランディングとリヴェルンの導入を通じて、グッズがクラブの新しいビジョンやアイデンティティを体現する重要な要素となり、ファンエンゲージメントの深化とブランド価値の向上に貢献しています。

日本サッカー界への影響

東京ヴェルディのリブランディングは、日本サッカー界に以下のような影響を与えました:

  1. クラブの多角化モデル: 他のJリーグクラブにとって、総合クラブ化の成功モデルとなりました。
  2. 国際的な視点の重要性: 世界基準のデザインを採用することで、海外のサッカーファンにも訴求力のあるブランドイメージの構築が可能であることを示しました。
  3. ブランド価値の向上: サッカーを超えたライフスタイルブランドとしての可能性を示し、クラブの価値向上につながりました。
  4. ファンエンゲージメントの深化: 多様な接点を持つことで、ファンとの関係性をより深く、長期的なものにすることができました。

結論

東京ヴェルディのリブランディングは、クラブの在り方そのものを変革する大きな挑戦でした。世界的デザイナー、ネヴィル・ブロディ氏の起用により、国際的な視点を取り入れたブランドイメージの構築に成功し、この取り組みは、J1復帰と観客動員数の大幅な増加という形で実を結びつつあります。今後、他のJリーグクラブも東京ヴェルディの例に倣い、より開かれたブランドづくりや多角的な事業展開を進めていく可能性があります。東京ヴェルディのリブランディングは、日本サッカー界全体のカルチャーを変革する大きな一歩となったと言えるでしょう。

リブランディングの詳細については、以下東京ヴェルディの公式ブランドサイトで確認できます。https://www.brand.verdy.co.jp/brand

投稿者 cft

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